先輩の話は聞いてみるものですね
まだ、この業界に入りたての頃の話。
自分は汎用機の仕事をしていました。
言語で言うと、俗に言う「コボラー」として働いておりました。
当時の自分は将来はオープン系に進みたいと熱望していました。
でも経験がないので、C+やらVBやらJAVAやらLINUXやらの勉強も並行して独学していました。
土日は毎週本屋通いです。(立ち読み専門。苦笑)
いや、それにしても難しいなあと。
C+なんか、本を読んで概念はわかっても、実際にプログラムを組んでみないとサッパリ、イメージがつかめません。
VBも同じく、本の内容はわかっても、開発キットがないのでさっぱりイメージが湧かないのです。
「データベースと会話をする言語がSQLだ!」と本に書かれていても、「は?会話?誰と?なんで?」
SQLはどこに書くの?VBとかのプログラムの中?言語体系が違うじゃないか?なんで会話が通じるんだ?
などなど、疑問は消化されずに、どんどん蓄積していきます。
とはいえ簡易的な開発キットをインストールしてもうまく動かない、それどころか環境自体が自力で構築不可。
つまり自分のIT知識というか感覚が、まったくもって未熟だったんですね。
そんな時、当時、社内では凄いと言われていた汎用機のオバチャン先輩に、色々質問してみました。
「○○さんはVBできますか?」
「できるよ。VBもCも、(ナンタラカンタラも、ドータラコータラも、できるよ・・・)」
「すごいですね、汎用機の仕事だけじゃないんですね。」
「汎用機の仕事でも画面(フロントエンド)をVBで作ることはよくあることだから。」
そうか、COBOLやっててもVBに触れる事ってあるんだ!とちょっと嬉しくなりました。
やっぱり先輩情報は大切だ、と思いました。
が、その後にあまりに自分が「VBできるのは凄いですね!」というものだから先輩もあきれて、
「何がすごいの?言語なんてどれも同じだし、言語ができるよりも何かアイデア出す方が大変なんだから。」
「そうですか? アイデアがあってもシステムが作れなければ意味ないじゃないですか?」
「いや、システムなんて簡単に作れるから、むしろアイデアが大事。
あなたも何か考えなさい。いいアイデアがあれば私が作って大儲けするから。」
「はぁ・・・。」
自分はこの時に、「先輩は何を言ってるんだろう?」と真剣に思いました。
どんなに良いアイデアがあってもシステムが作れなければ、ま~ったく意味がないですからね。
でも、それがIT初心者の発想だったんですね。
今の自分なら当時の先輩と同じ、「たいがいのシステムなら作れる」という自信があります。
となると、やっぱり大切なのはアイデアで、言語云々などまったく関係はありません。
今、当時の自分と同じようなITの若手が質問をしてきたら、まったく同じ事を言うでしょう。
やっぱり、先輩の言う事は素直に聞くものですなあ、と、思った話です。
さてさて、反対に先輩の言う事の「真意」を、自分で確かめもせずに信じて、ずっと勘違いしてた話もあります。
まだ独立してすぐの頃、前の会社の先輩と話す機会がありましたが、その方は最初はエンジニア、現在は営業をされている方です。
会話の中で、さらっと 「犬塚君も今は自分で営業をしてると思うけど、単発を繰り返すのは大変だろ?」 と言われました。
その言葉が結構心に響きました。
確かに、定期的に収入が入ってくるようなモデルではないので、常に動いて次の案件を探すというスタンスです。
「これは、ダメだ、なにか安定的に回るモデルを考えて、それを実行するようにしなくては!」
と、いう思いが、その「単発を繰り返す」という事を始めたばかりの自分の頭の隅に、常に残るようになりました。
それ以来、いろいろな人と会ったり、いろいろな場所に出向いて、情報を仕入れるようになりました。
でも、新たなモデルの発掘、開発ってものすごく大変で、そうそう簡単に見つかるものではなく、面白い話があるよと言われて行ってみると詐欺話まがいだったり(笑)、結局、しばらく動いてみても何一つ大きな収穫はなかったのです。
ここでも最初のオバチャン先輩の言葉が思い出されます。
「アイデアさえあれば・・・」
確かにアイデアさえあれば、単発を繰り返すことから脱却できますよね。
でも、さすが先輩の言葉は重い。
そうそう滅多に良いアイデアなんて存在せず、プログラムを作る方がよっぽど簡単なのです。
結局のところ、気が付いたのは、自分はこの「単発を繰り返す」という言葉をネガティブにとらえ過ぎててしまった、という事です。
よく考えたら、IT以外の多くの商売は「単発を繰り返す」モデルなんですよね。
なんで、この事にずっと気が付かなかったんだろう、と。
不思議な事に、「これじゃダメだ~、ダメだ~」、とずっと思っていたんですよね。苦笑
早く「循環収益モデル」を業務の「主」にしないと、という強迫観念があったんですよね。
あとで思ったのが、その先輩は、いわゆる「キレ者」で、みんなが煮詰まった時に、現状を打開するようなアイデアをポロっというような人でした。
確かに、その人にとっては、ある程度利益が入ってきて循環するモデルを考える事はお手のものかもしれません。
実際当時も、かなり面白く魅力的で、かつ現在も順調に進んでいるプロジェクトを、一緒にやらない?と誘ってくれたのでした。
(まあ、それもあって単発を繰り返すのは大変でしょうって言ったのかな?笑)
というわけで、自分がその先輩の立場(レベル)に立つまでは、その言葉の真意がわからないのだろうと、今は考えています。
今は、単発を繰り返すモデルをブラッシュアップさせつつ業務の「主」として置き、循環する収益モデルは、「そのうち見つかればいいや」と、そういう思いです。
どこかで、この先輩のように「アイデア発掘のコツ」みたいなものを会得できることを信じて頑張ろうと思います。