恐怖政治と衆愚政治

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国の統治形態は、いわゆるピラミッド構造が普通です。
北朝鮮のような独裁国家と言われる国では、ピラミッドの先端は鋭く、それでいて末広がりなピラミッドになります。
(踏むと痛そうです。)

会社という形態もピラミッド構造です。
とくにオーナー企業と言われる会社では、先端のとがり具合が北朝鮮に似てるパターンが多いです。
北朝鮮式の恐怖政治で社員が治まるかというと、それはケースバイケースだと思いますが、偽装事件のニュース等でオーナー社長の失態が報道されると、これでは治まらないよなぁ~、とも思ったりします。

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さて、プロジェクト管理においても、この北朝鮮式「恐怖政治」方式をとるリーダーを、たまに見かけます。
プロジェクトにおいて「不満を持つ人物」「モチベーションの落ちた人物」を見つけたら、その人の「クビを切る」つまり「プロジェクトから外れてもらう」というパターンです。
ITでは派遣も多いですから、仲間が切られる場面に遭遇したメンバーの多くは、自分もそのうち切られるのではないかという恐怖心がさらに増長されます。
よって、少なくとも表面上だけでも素直に見せて、不満を感じながらも仕事をガンバルのです。
もちろん、どこかの国みたく「拷問」はないですが、こういうのも「恐怖政治」と呼んでいいと思います。

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「恐怖政治」方式をとる人は、コミュニケーションが苦手な技術型のリーダーや欧米的な考え方のリーダーに多いようです。
このようなタイプの人は、損得勘定を気にすることも多いので、コミュニケーションをコストではなく、「無駄なコスト」と考えます。

が、しかし、余程の有能なリーダーでないと、この種の「恐怖政治」を長く続けることはできません。
なぜなら、例え優秀な人物で組織にとって重要な役割を持つ人物でさえも「自分と考え方が異なる」、「自分に対する批判」をしたという理由で首を切ってしまい、そのうち、まわりに優秀な人は徐々に消えていき、結局自分の能力だけで物事を解決しなければならなくなるからです。
よって、無能なリーダーでは独裁政治はできないのです。

しかし、無能なリーダーでも、自分に忠実な「ブレイン」を手に入れれば、政治生命を長引かせることができます。
その結果、頂点はますます鋭く、踏むと痛そうな画鋲のようなピラミッドになるのです。

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ではやはり、組織は「フラット」が最善なのか?
いいえ、自分はそうは思いません。

フラット構造では治まるべきものが治まらない、ということも多々あるからです。
「当社はフラットで上司にモノが言いやすい社風です」という会社案内はよく目にしますが、逆に言うと「リーダーが尊敬されない」=「まとまりがなくなる」というリスクも背負っています。
例えば、会社の経営、もしくはプロジェクトがうまくいってない時に、そのリスクが非常に大きく高まります。

しかし、従業員満足度という指標も注目され始め、フラットな組織にしないと従業員満足度が得られないという意見もあります。
確かに、この指標を無視するような傲慢な企業は、これからの時代は淘汰されていきいます。

が、従業員満足度とフラット化は別問題ですし、この指標ばかりを気にし始めると「衆愚政治」に陥る危険性も高くなります。
その結果、会社の利益と従業員の利益が背反するようになり、最終的には経営が悪化するのです。

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自分の個人的な考えでは、最も理想とするのは「ピラミッドであり、フラットである」、つまり「非常になだらかなピラミッド」構造です。

数年前までは自分もサラリーマンで、しかもIT業界に入りたての頃は派遣社員も経験しました。
そんな中で、プロジェクトにおいて上も下も快適に仕事ができている時は、このなだらかなピラミッド状態で全体が統治されていた時期であったように記憶しています。

しかし、この状態を作り出すのは容易ではないと思います。
既にある組織では、組織を突然「なだらかなピラミッド」に変えるということ自体、難しいものです。
その点、流動的なプロジェクトでは、形の面だけは、この状態を作り出すことは容易なのですが、それでも簡単にはうまくいかないのです。
それは、やはり、メンバーのメンタルな問題があるからです。
このなだらかなピラミッドの形は、個々人のメンタルな部分が凝固剤になっているのです。

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物には形がありますが、常にそこには心があるというのが自分の信念です。
メンタルの問題を「無駄なコスト」としたり、ちょっとしたコミュニケーションでさえコストに換算するような手法は、日本の文化になじまないよなあ。。。と思ったりします。

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